■前提:自分自身も死ぬまで成長し続ける
クリエイターとして生きる以上、成長は永遠のテーマだと思っています。
成長をあきらめた瞬間、クリエイターとしては二流以下になってしまうのではないかと。
そして、自分の立場が上がれば上がるほど、避けて通れないのが「チーム育成」というテーマです。
■なぜチームを育成しなければならないのか?
究極的には、自分のためと言っても構わないと思っています。
立場を上げるということは、会社への貢献が大きくなり、それはほぼイコールで「作るゲームの品質を上げる」ことでもあります。
つまり、立場が上がったあなたは、より良いゲームを作らなければならないのです。
そのために、チームを育てるという話につながります。
■AAA級プロジェクトでは“チームの総合力”が鍵
プロジェクト規模が大きくなれば、自分一人では到底カバーしきれません。
例えば、あなたの力が「3」、他の99人の力が「1」ずつだったとします。
合計で「102」。
しかし全員が「1.1」になれば、合計「110」。
このように、個人の伸びよりもチームの底上げによるインパクトが大きいのです。
さらに言えば、個人の成長曲線には限界があります。
だからこそ、チームを育成する価値は非常に高いのです。
■成長の機会は「過程」の中にある
もちろん、成功体験――「良いゲームが出来た」という結果は最強の成長です。
ですが、それはリザルト画面に表示されるご褒美みたいなもので、多くの成長はむしろ日々の“過程”の中に眠っています。
問題は、どこでその成長機会を作り、どう届けるかということです。
■課題を渡すだけでは成長を促せない
よく見かけるのが、こんな声です。
「デザイン悪いよね。ちゃんとやっといて。」
課題(仮)は提示されているけれど、その後のフォローや責任が曖昧。
この状態では、考えるきっかけは生まれても、本質的な成長には繋がりません。
もちろん、そうした環境でも育つ人はいますが、そういう人材はもともと自立して伸びるポテンシャルを持っているものです。
■鍵は「責任ごと任せること」
任せるということは、同時に責任を持たせるということです。
そして、任せる側にも責任があります。
任せる相手の分野を理解し、
最低限その領域で責任を果たすだけの知識や知見を持っておく必要があります。
つまり、チームを育てたいなら、あなた自身がその領域で強くなっておくべきなのです。
■“トップの能力”がチームを決める
成長するチームと、そうではないチームの差は、結局トップの能力に依存します。
トップが優秀であれば、チームも優秀になれる。
逆に、信頼できないリーダーが率いていれば、その下はゆっくりと腐り始めます。
優秀な人材は放っておいても育つのです。
しかし、チーム全体を育てるためには、
「優秀かどうか」を超えて「育てる仕組み」を作る必要があります。
そのためには、あなた自身がまず“最強のメンバー”である必要があります。
■立場が上がってからでは手遅れになりやすい
立場が上がると、次の二つの役割が同時に降ってきます。
- 自分自身を成長させる責任
- チームを成長させる責任
この両立に準備不足で臨むと、どちらも破綻する可能性が高いです。
だからこそ、立場が上がる前に、しっかりと強くなっておくべきです。
■日本的文化の落とし穴:年功序列
日本のゲーム業界にも根付く年功序列の文化。
本来トップにふさわしい人が、遅れてその座につくケースが多くあります。
その“待ち時間”の間に、チームの成長が止まってしまうのは非常にもったいない。
ゲーム開発の現場はまだまだチャンスがあります。
だからこそ、迷っている暇はありません。
さっさと力をつけて、駆け上がるべきだと思います。
■結論:自分が強くなって、チームを強くする
- まずはあなた自身が最速で強くなる。
- そのうえで、チームを育てる立場に回る。
- それがプロジェクト成功への最短ルートです。
チームを育成するということは、最終的に“あなた自身の限界を引き上げる”ということと同義なのです。
自分自身の未来のためにも、そしてプロジェクトの成功のためにも、今日から「チーム育成」を意識して行動してみましょう。