ゲーム開発という仕事をしていると、
とにかく「モノ」が増えます。
仕様書、スプレッドシート、ドキュメント、共有ノート、Slackのスレッド。
一度つくったら放置される資料が、いつの間にか山のように積み上がる。
その多くが、「もう誰も見ていない」状態になっています。
■ ドキュメントが増え続ける理由
なぜ人は、ドキュメントを増やすのか。
それは「安心したいから」です。
・自分の考えを整理したい
・他人に説明するためにまとめておきたい
・あとで参照できるようにしておきたい
全部わかります。
でも、それが積み重なると「誰も読まない文章の墓場」になります。
1か月くらい見返していないドキュメントは、8割はもう使われない、いや9割と言っても過言ではない
そう思って間違いありません。
■ 捨てることは、思考を軽くすること
資料を捨てると、頭がスッキリします。
情報を探す時間も短くなります。
「どれが最新版だっけ?」という無駄な思考も消える。
本当に必要な情報だけが残ると、決断スピードが上がります。
つまり、“思考時間の短縮”につながる。
実際、プロジェクトを見ていると、
「過去の資料を見返さなくても、今を判断できるチーム」ほど動きが早いです。
逆に、古い資料に引っ張られるチームほど、意思決定が鈍くなります。
■ 「無くなっても意外といける」
面白いのは、
「必要だと思っていたもの」が無くなっても、
意外と何も困らないということ。
たとえば、半年前に作ったゲームデバッグ方法まとめ。
誰も見ていなかった。
削除しても開発は止まらなかったし、なんならアップデートが足りてなくて正しい状態ですらなかった。
ここに手をいれろ!と正しい状態を担保させるより消すことで
むしろ、そのあと「今必要な仕様」に集中できるようになった。
モノにもよりますが、資料は“未来のため”に作る作用より、“今のため”に作るものが多い
特にモバイル業界だと恐らくそうだと思います。
■ 捨てられない人、捨てられる人
ただし、誰でも「捨てる」判断ができるわけではありません。
慎重な人ほど、
「本当に消していいのか?」と悩みます。
一方で、スピード重視の人は、
「もういらんでしょ!」と即断できる。
これは性格というより“適性”です。
だからこそ、チームとして重要なのは
「適切な決断に向いている人」に捨てさせること。
リーダーやディレクターなど
“情報を選ぶ責任”を持つ人が判断し、チームにとって不要な情報を整理する。
それが結果的に、チーム全体の効率を上げます。
■ 「増やす」より、「減らす」を意識しよう
ゲーム開発では
「増やすスキル」より「減らすスキル」が
実ははるかに重要です。
ドキュメント、機能、演出、会議、Slackチャンネル。
どれも“増やす”のは簡単で
“減らす”のは勇気がいる。
でも、減らした先にあるのは、
より集中した開発と、より鋭い判断。
だからこそ、
**「捨てる勇気」**を持てるチームこそ、
強い開発チームだと思います。
■ まとめ
- 1か月使っていない資料は、9割不要
- 捨てると頭が軽くなり、決断が速くなる
- 無くなっても意外と何とかなる
- 捨てる判断は、適した人に任せる
「捨てる」はネガティブな行為ではありません。
それは、“集中する”という選択です。
必要なものを増やすより、
不要なものを消す。
その先に、本当に大事なものが見えてきます。
ゲーム開発も人生も、同じですね。
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