個人ゲームクリエイター

「好きなように作る」自由な道を考えてみよう

この章では、「個人でゲームを作る」という選択肢について、理想と現実の両面から正直にお話しします。
少人数開発や“ひとり開発”に憧れている方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。


個人開発の魅力:自由、そして可能性

まず声を大にして言いたいのは、**個人ゲームクリエイターの最大の魅力は“自由”**であるということです。

  • 上司に怒られることもなければ
  • 納期やノルマに縛られることもない
  • 企画書が却下されることもない

自分の「作りたい!」と思ったものを、自分のペースで作れる。
これほど気持ちのいいクリエイティブはなかなかありません。

しかも、運が良ければヒットして、数千万〜億単位の収益が発生することだってあり得る世界です。
まさに「夢のような話」。……ですが、それだけでは終わりません。


現実:自由には責任と現実がつきまとう

「好きなゲームを作って、生きていきたい」
これは素晴らしい動機ですが、現実にはいくつかの“見落としやすい壁”があります。

たとえば…

カプコン、『モンスターハンターワイルズ』を2025年に全世界で発売決定。アナウンストレーラーを発表。 | 株式会社カプコンのプレスリリース
  • 「ドラクエみたいな本格RPGを作りたい!」
  • 「モンハンみたいなアクションを作りたい!」

こう思う人は多いですが、これらのゲームは100億円近い開発費がかかっています。
スマホゲームでさえ、50億円近くの制作費が必要な作品がゴロゴロしています。
しかも、それでもヒットしないこともあります。

つまり、個人が目指せる“ゲームの規模”には明確な限界があるということです。
「大作を1人で」は、基本的には夢物語です。


どんなゲームなら個人でも目指せるのか?

現実的なラインとしては、以下のような事例が挙げられます:

アンダーテール』に登場するキャラクターたちの年齢は? PINION
  • 『UNDERTALE』:RPGの型を崩したインディーの金字塔
  • 『floor9』:軽量で遊びやすく、それでいて印象に残る構造
  • 『どうぶつタワーバトル』:シンプルな構成ながらSNSで大ヒット
  • 『スイカゲーム』:極めてシンプルな落ち物パズルがSNSと配信の力で大ブレイク

これらに共通しているのは、「限られたリソースでも、着眼点と設計力で十分に勝負ができる」という点です。

大作を1人で作れないのは当たり前。
でも、「小さな名作」なら個人でも確実に狙えます。


では、何ができれば個人で戦えるのか?

個人開発に必要なスキルは、ざっくり以下のようなものです:

  • UnityやGodotなどのゲームエンジン操作
  • 2D・3DイラストやUIデザイン(最低限)
  • フリーBGMや効果音の活用
  • ストア登録・課金・広告設定
  • 宣伝(SNS、動画、口コミ)

すべてに精通する必要はありません。
まずは「テンプレ素材」や「無料ツール」を使って、**“とにかく1本完成させる”**ことを目指しましょう。
1本作ってみることで、足りない部分が自然と見えてきます。


自由を望む人へ:「縛られない」という生き方

もう一つ、個人クリエイターに向いているタイプとして挙げられるのは、

  • 「誰かに指示されるのが苦手」
  • 「思うままに“面白い”を追求したい」

という気質の持ち主です。

この場合、「大成功」を狙わずとも、**“定期的にゲームをリリースして細く長く暮らす”**という生き方もあります。

  • 高収入ではないかもしれない
  • 社会的な安定も少ないかもしれない

それでも、対人ストレスが極めて少なく、自分のペースで生きられるという意味では、これも立派な選択肢です。


「就職 × 個人開発」というハイブリッド型

近年では、「企業に就職してクリエイターとして働きながら、個人開発も行う」
いわばハイブリッド型の開発スタイルも一般的、いや主流になりつつあります。

  • 会社でゲーム制作の流れやプロジェクト経験を積みながら
  • 休日や夜間に、自分のゲームを少しずつ開発していく

ただし注意点として、副業規定に抵触する可能性はあります。

  • 収益が発生する場合、会社の副業申請が必要(許可されないことも多い)
  • 逆に、収益が出ない範囲(コンテストや無料配信)であれば許容されるケースもあります
  • また、会社によっては、申請のうえで明確な承認を得られる場合もあります

このあたりは「会社による」としか言えませんが、
“仕事をしながら個人開発をする”という道も確実に存在しているという事実は知っておいて損はありません。

収入を得ないようにして回避する、もしくは発生した規模に応じて会社を辞めて独立する覚悟

これらを検討できるのであれば、大いに私は支持したい考え方となります。


お金の話:完全独立はハードモード

大学を卒業して、いきなりフリーのゲームクリエイターになる。
これは正直、かなりのハードモードです。

  • 収入はゼロからスタート
  • 生活費は出ていく一方
  • 作品完成まで半年〜数年かかることも珍しくない

よほどの支援や蓄えがない限り、現実的にはかなり厳しい選択肢です。


まとめ:自分の中に「自由と安定」の軸を持とう

個人ゲームクリエイターという生き方は、
“自分の中での自由と安定のバランス”をどう取るかで継続の難易度が大きく変わってきます。

  • とにかく自由にやりたいのか
  • 少しでも安定して収入を得たいのか
  • ゆくゆくは就職に活かしたいのか

この「軸」を持っておくと、選択にブレが出にくくなります。


▶ 次に進むヒント

ここまで読んで、

  • 「やっぱり企業に入ってから個人開発したい」
  • 「まずは就職して、いずれ独立を目指したい」
  • 「副業で試してみて、可能性が見えたら本気で考えたい」

そんな考えが浮かんだ方は、次の「企業ゲームクリエイター編」にぜひ進んでみてください。

あなたの選択に、間違いなんてひとつもありません。
自分の“面白い”を信じて、一歩踏み出すことが何より大切です。